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職務経歴書とは
転職において職務経歴書は、応募者が、企業が求める実務能力を持った人材がどうかを見極めるための重要な役割を持ちます。
履歴書が基本的な応募者の情報を確認し、採用条件に合うかどうかを確認するための書類であるのに対し、職務経歴書ではより具体的なスキルや仕事の経験をもとに、応募したあなたが、戦力として企業に貢献できるかどうかが問われる採用の決め手となる書類になります。
また、職務経歴書は、主に応募者の職務能力をチェックするための書類ですが、それ以外にも、
- 仕事への熱意や入社意欲→志望動機・自己PR
- 組織への適応力→転職回数・退職理由
- 職務経歴の信憑性→職務内容・自己PR
などのいわば「人物像」の部分も確認することもその役割に含まれます。
【職務経歴書の役割】
「応募者の具体的な経験・スキルや人物像を知ること」
→実務能力・仕事に対する意欲・プレゼン能力・強みなど
【履歴書の役割】
「応募者の基本的な情報や概要を知ること」
→住所が通勤可能かどうか・学歴・転職回数・希望給与など
書類選考を通過できる職務経歴書とは
職務経歴書は、単に自分の職務経験のみを羅列する書類ではありません。
企業が求める人材像を分析し、自分自身の経験やスキルの中でその人材像に合致する接点を見いだし、最大限アピールする必要があります。
一方的に自分が自信のあるスキルや経験を全面に押し出したとしても、企業が求めるものでなければ、全くアピールポイントにはなりません。
したがって、まずは志望企業についてしっかりと調べ、どんな経験・スキルを求めているのかをつかむことが大切です。
求人募集要項は当然として、応募企業のホームページや経営者のブログなどがあればそれもよく確認し、求められる能力や人物像を書き出してみましょう。
なお、求人情報の募集要項には「歓迎」する経験・スキルが明記されていることも多いですが、むしろ「必要」な経験・スキルであると考えておいたほうがよいでしょう。
もし、自分にその経験・スキルが足りていないようであれば、今日にでも勉強を始め、自己PR欄などに「現在勉強中のこと」として記載できるようにする努力も必要です。
自分のキャリアを整理する
企業が求める人材の分析の次に行うことが、自分の経験・スキルを洗い出す、いわばキャリアの棚卸の作業です。
作業にあたっては5W1H (Whenいつ・Whereどこで・Whatなにを・Whomだれに・Whyなぜ・Howどのように)に基づいて情報を整理していくことがコツです。
【例・ショップ店長の場合】
Whenいつ
20○○年○月~20○○年○月まで
Whereどこで
「○○(ブランド名)」銀座店
Whatなにを
レディース衣料品(商品単価10,000円~50,000円程度)
Whomだれに
30代後半~40代前半の女性中心
Whyなぜ
店舗売上予算達成のために
Howどのように
- 個人として社内販売コンテストで入賞
- 店舗独自商品の企画提案
- 接客レベル向上のために毎週勉強会を実施 等
このことを意識しながら、職務経歴書においてプレゼンすべき内容を見つけるために、勤務した会社ごと以下の項目を書き出していきましょう。
- 所属部署・役職
- 担当業務
- 改善したことや工夫したこと
- 実績・評価
- 失敗したこととリカバリーの方法
- 社内研修・自己啓発・取得した資格
具体的な職務経歴の書き方の例とポイント
企業の求める経験・スキル・人物像と、自分自身のキャリアの整理ができれば、いよいよ実際の職務経歴書の作成に入ります。
繰り返しになりますが、職務経歴書は、自分が関わった経歴の羅列ではなく、自分の能力や経験をアピールするためのプレゼン書類です。
そのことをふまえ、まずは下記のような基本的なポイントをまずは確認しておきましょう。
良い例 | 悪い例 | |
---|---|---|
全般 | 見出しやフォントを工夫し、伝えたいポイントが整理されている | メリハリのない構成で、単なる事実の羅列 |
枚数 | 1~2枚程度 | 5枚以上 |
文字数 | 1テーマ150字程度 | 800字以上 |
職務内容 | 強みを強調 | 並列的でポイントが分からない |
退職理由 | 簡潔で前向き | 無駄に長い |
志望動機 | 過去の経験をベースに、応募企業ならではの動機 | 自分の願望がベースで、どの企業にもあてはまるような動機 |
自己PR | 職務経験をベースに、結論が先にくる分かりやすい文章 | 趣味や学生時代の経験がベースで、無駄に長い |
入社可能時期 | 具体的 | 未定 |
採用担当者に興味を持ってもらうための「職務要約」
採用担当者は多くの応募者の職務経歴書を短い時間で読み、選考を行っていきます。
そのため、職務経歴書の一番最初に、「職務要約」という見出しで、200字程度で経歴の要約を作ると良いでしょう。
どんな業界で、どんな業務を、どれくらいの期間行ったという基本情報を、(もちろんここでも、企業が求める経験スキルとの接点を意識して)簡潔にまとめることで、担当者の興味を引きましょう。
職務経歴書の書き方の3パターン
職務経歴書の書き方には、以下の3つがあります。
①年代式
→過去から現在に向かって経歴を記載する
【メリット】
最もオーソドックス記載方法なので違和感がない
【デメリット】
直近の職務が後半になり、アピール度が弱まる【年代式に向いている人】
- 過去の職務経験と応募職種の関連性が高い
- 職務経験10年未満
- 転職回数3回以下
②逆年代式
→現在から過去に向かって経歴を記載する
【メリット】
直近の職務が上の方にくるのでアピール度が高い【デメリット】
経歴が時系列でないため、経過を把握しづらい【逆年代式に向いている人】
- 現職に近い職務経験をアピールしたい人
- 複数企業に勤務し職務経歴が長い人
③職能(キャリア)式
→職務経験ごとにキャリアをまとめて記載する
【メリット】
職務能力が把握し易い
転職回数が多い場合、目立ちにくくすることができる【デメリット】
年代式に慣れた採用担当者の場合、違和感を持つことも【職能式に向いている人】
- 転職回数が多い人
- 職務能力を強調したい人
年代式が最も一般的なフォーマットですが、経歴が長い方にはアピール度や総合的な分かりやすさから、逆年代式もおすすめです。
職能(キャリア)式は、専門的性で勝負するデザイナー、パタンナーなどにも向いた方法ですが、採用担当者によっては読みにくいと感じられるリスクもあるため、使う場合には分かりやすい印象になるような工夫が必要でしょう。
職務経歴は具体性が重要
職務経歴において大切なことは、なるべく具体的な数字に基づく実績や評価をアピールしていくことです。
また、数値で示しづらいような場合には、
自分のどのようなスキルを生かし→どのような行動を取った結果→このような結果が得られた
ということが分かるように記述しましょう。
実績・評価をアピールするための例
【売上面での実績・評価】
- 年間売上
- 予算達成率・前年比
※○○月連続で予算達成、前年クリア、○○地区で1位など- 社内コンテストや百貨店内コンペでの表彰実績 等
【売上面以外の実績・評価】
- マネジメント人数(店長等、マネジメント職の場合)
- クレーム対応のマニュアルを改善することで、クレーム前年比○○%
- 顧客管理のデータベースを整備し、リピート率が向上 等
なお、アパレルの場合、関わったブランドについては、よほど有名ブランドである場合を除き、そのブランドの客層や価格帯や、勤務したお店の広さ(坪数)を記載することで、採用担当者がイメージし易くなるようにしておきましょう。
自己PRでは職務経歴では伝えきれない点をアピール
自己PRでは、職務経歴書では書きづらかったり、伝わりづらかったりする内容を書いていきましょう。
あくまでも応募企業で生かせるスキル・経験を意識しながら、職務経歴に記載した内容を裏付けるようなエピソードや評価を盛り込んで、その企業で戦力となり得る人材であることを納得できるようにアピールして下さい。
まとめ
企業の求める人材像を理解し、自分の経験・スキルとの接点を見つけ、アピールするための最大の武器が職務経歴書です。
この記事を参考に、採用担当者が「この人にはぜひ会ってみたい!」と思うような職務経歴書を作って下さいね!