税金関係で退職に伴って手続きが必要になるのは、「所得税」・「住民税」です。
また、退職金の額が一定以上になると、退職金にも税金がかかります。
所得税は前払い方式
所得税は、会社員の場合、毎月一定額が天引きされ年間所得が確定する年末に正確な税額を計算し調整(年末調整)する前払い方式の税金です。
多くの場合、一定額が還付されるためちょっとしたボーナスのような感じで楽しみにしている人も多いのですが、そもそも払いすぎていた分が返ってくるだけの話です。
退職した年内に再就職をした場合には、転職先の会社が年末調整をしてくれます。
退職した年内に再就職ができなかった場合には、翌年の2月16日~3月15日の間に、自分で税務署へ確定申告をする必要があります。
税務署へ直接行く方法や、郵送の他にもe-TAXというインターネット上で申告することのできる方法もあります。
いずれにせよ、確定申告をしたことが無い方であれば、必要書類の準備も含めある程度の時間がかかりますので、早めに準備を進めておくことをおすすめします。
なお、転職先で年末調整してもらう場合でも、自分で確定申告する場合でも、前の会社で発行してもらった源泉徴収票や、控除対象になる支出(生命保険・損害保険・住宅ローン等)の証明書や、領収書が必要になります。
住民税は後払い方式
住民税は所得税と違い、前年の1月~12月までの所得に対する税金を、翌年の6月~翌々年の5月にかけて支払う後払い方式の税金です。
退職後に転職先が決まらず無給だとしても、前年の所得に対する税金が追いかけてくるため、注意が必要です。
納税方法は退職した月によって異なり、
1月~5月に退職した場合
→退職月から5月までの納税額の合計を最終給与から一括徴収され(前々年分の税金)、その後6月から前年分の税金を納付。
6月~12月に退職した場合
→退職月の給与から、その月の税額が引かれる。残りの翌年5月までの分は市区町村から送付されてくる納付書に従って分割納付する(一括納付も可。)。
となります。
なお、納付先はその年の1月1日時点で住民票のある市区町村となります。
退職金に税金がかかる場合
退職金に対する税金は、総合課税方式にすると総所得が上がり高額(退職金から一律20.42%源泉徴収)となってしまいます。
しかし、「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出することで、分離課税方式となり税金を低く抑えることができます。
分離課税方式による退職金への課税額の計算方法は以下の通りです。
(退職金-退職控除額※1)×1/2=退職所得
※1 退職所得控除額
勤続年数 20年以下
→40万円×勤続年数(80万円未満の場合は80万円)
勤続年数20年超
→800万円+70万円×(勤続年数-20年)
例えば、勤続10年の方であれば退職金が40万円×10年=400万円、勤続22年の方であれば退職金が800万円+70万円×2年=940万円を超えなければ税金はかかりません。
その金額を超えると、超えた金額に対して税金がかかってきます。
詳細な税額の計算は以下の国税庁のサイトをご参照下さい。